M・アンドリーセン氏が考える2012年--「ソフトウェアが世界を飲み込む」

Paul Sloan (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2011年12月26日 07時30分

 Marc Andreessen氏の世界観は、一言でいうとソフトウェアだ。

 Netscape Communicationsを共同創設し、現在はシリコンバレーの強力なベンチャー企業Andreessen-Horowitzを共同経営するAndreessen氏の立場から見れば、ソフトウェアの影響を受けない業界など存在しない。同氏はThe Wall Street Journal(WSJ)に寄稿し大きな議論を呼んだ記事の中で、「ソフトウェアが世界を飲み込んでいる」と書いている。


Marc Andreessen氏
提供:Andreessen-Horowitz

 ソフトウェアは音楽と出版を飲み込んだ。広告業界も侵食しているし、Tower Recordsのような小売店も丸呑みした。そうした例はほかにいくらでもある。

 安全な領域はない。だからこそ、Andreessen氏は大きな好機を見いだしている。

 同氏の楽観主義に拍車をかけているのは、ブロードバンドの普及、クラウドコンピューティング、そして何よりスマートフォン革命だ。1990年代、インターネットの普及によって、当時は実現不可能だった常軌を逸したことが予測されていたが、今ではそれらが可能になった。

 2012年の展望とソフトウェアの前進について、Andreessen氏に話を聞いた。

--まずはスマートフォンについて話を聞かせてください。

Andreessen氏:2012年は、世界中の消費者がフィーチャーフォンに「ノー」と言い、スマートフォンに「イエス」と言い始める年になると考えています。フィーチャーフォンは先進国から消え、今後5年のうちに発展途上国からも消えていくでしょう。

--そのことはなぜ重要なのでしょうか。

Andreessen氏:スマートフォンは、ソフトウェアが世界を広く侵食していくことを可能にする上で、鍵となるテクノロジだからです。それによって誰もがコンピュータを、文字どおり1台のコンピュータを手にすることができるからです。

--PC業界ができなかったやり方で、ということでしょうか。

Andreessen氏:世界の多くの人々はまだPCを持っていません。一方で、今後3~5年のうちに世界のほとんどの人がスマートフォンを所有するようになるでしょう。人々がスマートフォンを手に入れれば、わたしはあらゆる領域や分野でビジネスを構築し、顧客であるその人々にサービスを提供できます。世界のどこにいるかに関係なく、何十億人という膨大な数の人々を相手にできるようになるのです。

--それは主に既存の企業に有利なのでしょうか。それとも新しい企業にもチャンスが到来するのでしょうか。

Andreessen氏:その両方でしょう。AmazonやFacebook、Googleにとっても、新興企業にとっても、先進国の20億台のスマートフォンに、3~5年後には全世界の60億台のスマートフォンにサービスを提供できる可能性があるということは、これが巨大な成長市場であることを意味しています。

 しかし、それは新しいビジネスにも可能性をもたらします。2011年に起こった重要なことは、垂直市場の台頭とでも言うべき現象でした。それを育む場となったのがEコマースです。垂直市場において、Eコマースカテゴリキラーというカテゴリの台頭がありました。5~10年前であれば市場が十分な規模に達していなかったため、そうしたカテゴリが高成長企業を支えることはできなかったでしょう。

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