人気作「ReLIFE」は“実体験”から生まれた--「comico」漫画家の夜宵草さんに聞く

 500万ダウンロードを超えたスマートフォン向けコミックサービス「comico(コミコ)」。同サービスにおいて圧倒的な人気を誇る「ReLIFE(リライフ)」の単行本が、8月12日より全国の書店やECサイトで発売された。サービスを運営するNHN PlayArtによれば、発売からわずか1週間で品切れが相次ぎ重版が決定。累計発行部数は早くも10万部に達しているという。

 comicoは、画面を縦にスクロールして、コマ割りのないフルカラー漫画を読めるサービスで、同社がプロ契約した人気アマチュア漫画家の作品を毎日掲載している。ReLIFEは社会で挫折を味わい、何をやっても裏目に出てしまう主人公・海崎新太(27歳)がリライフ研究所の夜明了と出会い、研究所の被験者として1年限定で高校生としての生活を送る青春コメディ漫画。comicoのサービス開始当初の2013年10月から連載しており、人気作品ランキングでは1位の常連となっている。


comico作品で初めて単行本となった「ReLIFE(リライフ)」

 comicoでは、現在96作品が掲載されているが、単行本化したのはReLIFEが初めて。これに先駆けて6月に公開したReLIFEの単体アプリ(iOS/Andorid)は、公開初日にApp Storeの無料総合ランキングで1位を獲得した。また、8月24日には単行本化を記念したサイン会をSHIBUYA TSUTAYAで開催。8月12日に先着100人分の整理券を事前配布したところ、開始時間前から長蛇の列ができるなど大きな反響があったという。

 これまでも、紙の漫画で人気の作家が執筆したウェブ漫画が単行本化した例はあったが、新人作家のウェブ漫画が1年を待たずに単行本化し、ここまで高い人気を博すのは珍しい。そこで、ReLIFEの作者である夜宵草さんにcomicoで執筆することになった経緯や、作品が生まれたきっかけについて聞いた。

――夜宵草さんのプロフィールや、漫画家を志した背景を教えて下さい。

 生年月日は秘密で、現在は大分在住です。以前はOLとして働きながら漫画を描いていましたが、次第に身が持たなくなり専業の作家となりました。どちらの道を取るかかなり悩みましたが、家族の理解もあり、漫画に専念してチャレンジしてみることを決意しました。もともとは、趣味でいいから漫画を描き続けていたいなという感じだったのですが。おかげさまでReLIFEが代表作になりました。

――「comico」で執筆することになった経緯や、サービスについて最も魅力を感じたところはどこでしょう。

 私はもともとウェブで漫画を発表していました。そこからcomicoにスカウトいただいたことがきっかけで連載することになりました。comicoはハンゲームを運営しているNHN PlayArtさんが運営するサービスということで、私自身がハンゲームのユーザーだったこともあって信用できました。comicoで連載すれば、たくさんの人に見てもらえる可能性があると思いワクワクしました。

――「ReLIFE」を描こうと思った理由や、作品に込めた思いは。

 自分自身の実体験がストーリーのベースとなっています。ReLIFEでは主人公の海崎新太が、新卒で入社した会社を3カ月で辞めていますが実際、私自身も最初に入った会社を3カ月で辞めていて(苦笑)。その体験を踏まえ学生と大人、どちらの目線からでも作品を楽しんでもらえたらと思って作品を描いています。


「comico」は縦読みの漫画サービスであるため、単行本用に再構成したのだという。本文も大幅に加筆&修正されている

――ネット発の漫画が紙の書籍になるという、新たな流通モデルについて作家としてどう感じていますか。

 とても夢があるな、と思います。ウェブの漫画が有名になっていくのは私も嬉しいです。

――8月24日にSHIBUYA TSUTATAで開催されたサイン会の感想を聞かせてください。

 いつもは画面越しで読者さんからいただく感想やコメントを拝見しているのですが、サイン会という場で、直接読者の皆さんとお会いできたのはとても良い経験になりました、皆さんと直接お話させていただく機会を通じて、本当に多くの方に応援していただいているんだなという実感を得ることができました。本当に嬉しかったです。ありがとうございました!

  • サイン会ボード

  • サイン会に並ぶファンの列

  • サインをする夜宵草さん

――今後のcomicoやウェブコミックに期待したいことはなんですか。

 もっともっとたくさんの人に知ってもらって、いろんな世代の方に読んで欲しいです。

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