5000万円を勝ち取った企画書の中身とは--TSUTAYAが映画製作を“出口”まで支援

 カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)グループのTSUTAYAとカルチュア・エンタテインメントは、映像作品の製作からレンタル、販売、配信までを総合的に支援する「TSUTAYA CREATORS' PROGRAM FILM 2016」(TCP)を実施している。応募締め切りの6月13日を控えた6月1日、「君の映画への熱い想いを、TSUTAYAにぶつけNight★」をテーマに、TCPの審査員を務める映画プロデューサーの久保田修氏と、第1回のTCPで準グランプリを獲得した加藤卓也氏、片桐健滋氏によるトークイベントを実施した。

左から、映画プロデューサーの久保田修氏、第1回TCPの準グランプリを受賞した片桐健滋氏、加藤卓哉氏
左から、映画プロデューサーの久保田修氏、第1回TCPの準グランプリを受賞した片桐健滋氏、加藤卓哉氏

 TCPは、映画を創り出すクリエーターを発掘する支援プログラム。2015年に第1回を開催し、全474作品がエントリーした。企画書による1次審査、シナリオ、絵コンテ、最終審査用の5分間映像による2次審査、面談などを経て、7作品が最終選考に残り、1作品がグランプリ、2作品が準グランプリに選ばれた。

 グランプリ、準グランプリを獲得した作品は、劇場公開を視野に入れているほか、TSUTAYA店頭でのレンタル、動画配信サービス「TSUTAYA TV」での配信など、”出口”を確保していることが特徴。上限5000万円としていた製作費予算も、第2回では5000万円以上に拡大されている。

 第1回で準グランプリを獲得した加藤氏、片桐氏はともに映画の助監督を務めるベテラン。すでに映画業界で活躍しながら、TCPに応募した理由を「いつか監督になりたいと思いながら日々助監督をしてきたが、製作費の支援が5000万円と聞き、なかなかここまでやれるところはないと思った」(加藤氏)、「助監督が監督をやることがない。TCPはすごくいいきっかけになった」(片桐氏)と、TCPが映画監督への大きな後押しになったと話す。

 最終選考に残った7作品は、それぞれ監督によるプレゼンを披露したが、久保田氏は「プレゼンがうまくてびっくりした。これから映画監督を目指す人は、自己プロデュース能力も必要になると感じた」と感想を話した。

形式にこだわらず“伝えたいこと”を第一に考えた企画書

 最終審査のプレゼンにたどり着くまでには、企画書、絵コンテ、5分間映像作品など、いくつかの”関門”がある。定形はないため自由に作成ができ、自己ピーアールの場としての役割も果たす。

 加藤氏は「絵コンテをがっつり見せるのもちょっと……と思い、15枚の写真で映画の世界観を表現した。撮影はプロのカメラマンに頼み、作品の舞台となる渋谷の円山町あたりの風景や、知り合いの女性に登場してもらった」とのこと。

 一方、片桐氏は「2次審査では写真もなくて、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の落書きみたいなものを送っていて、まぐれで通ったと思っている(笑)。最終審査は映像作品を用意する人が多いと思ったので、漫画家の人にキャラクターを描いてもらい、PCに取り込んで編集する方法を選んだ。そのほうが見てもらえると思った」と、絵コンテや動画といった手法にこだわらない方法を選んだという。

 久保田氏は「片桐さんのプレゼンは、動画じゃないから逆に目立った。また、加藤さんの最終プレゼンの映像は本格的なもの。通常のギャランティを支払ったら150~200万円程度だと思う」とコメントした。

 第1審査の企画書については「A4サイズ1枚が勝負だと思ったので、写真を全面に入れて、簡単にストーリーを書いたものを作成した。大きく書いたのは何をやりたいか」(加藤氏)、「準グランプリに選んでいただいた『ルームロンダリング』は事故物件の話。オカルトやファンタジーとともに主人公の女の子が成長するドラマにしたいという、キャッチーな部分を1枚目に書いた。プロットも最初の3シーンくらいを丁寧に書いただけ、量としては長くはない」(片桐氏)と、それぞれの企画書の内容を披露。久保田氏は「大量の企画書を読むが、やはり伝わってくるときには作り手の思いが伝わってくる。それは文章の上手い下手ではない。最終的には面白いか、面白くないか」と、企画書を仕上げるのはテクニックだけではないことを話した。

 久保田氏は「TSUTAYA店頭でのレンタルやTSUTAYA TVでの配信など、きちんと出口を用意しているやりがいのあるコンペ」とTCPに対してコメントし、片桐氏も「アウトプットがあることは珍しい。出したほうが得」と応募を呼びかけた。

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