ピクスタ、スマホ写真の売買アプリ「Snapmart」を買収--炎上騒動は「いい決着」

 ストックフォトサイト「PIXTA(ピクスタ)」を運営するピクスタは8月23日、スマホ写真の売買アプリ「Snapmart(スナップマート)」事業を、オプトインキュベートから譲り受けることを発表した。買収額は3000万円。

ピクスタ代表取締役社長の古俣大介氏(右)、スナップマート代表取締役社長の江藤美帆氏(左)
スナップマート代表取締役社長の江藤美帆氏(左)、ピクスタ代表取締役社長の古俣大介氏(右)

 Snapmartは、スマートフォンで撮影した写真を売買できるアプリで、6月1日にサービスを開始した。「Instagram」などのSNSに投稿するために撮影された、“日常的で自然な写真”が中心であることが、従来のストックフォトサイトとの違いだ。写真は広告素材を探している企業などに、1枚100円から買い取ってもらえる。

 8月23日に新たに設立された、スナップマートの代表取締役社長である江藤美帆氏によれば、Snapmartは万単位のユーザーに利用されており、これまでに約20万枚の写真が販売されているという。最も写真が売れているユーザーは、サービス開始から約2カ月半で1万2000円(売上の約50%)の収益を得たそうだ。企業によるコンテストも実施し、旅行ガイド本「ことりっぷ」とのコラボでは、「私の街」というテーマに対し、約1600枚の写真が投稿されたそうだ。

「Snapmart」
「Snapmart」

 ただし、Snapmartのターゲットである10代後半~30代にまだリーチしきれていないため、今後はターゲットの獲得に向けた施策を打つとしている。また、現在はiOSアプリのみ提供しているが、Androidアプリを求める声が多いため、2017年の早いタイミングで公開したいとしている。

ピクスタが「Snapmart」を買った理由

 ところで、なぜピクスタはSnapmartを買収したのか。この疑問に対し、ピクスタ代表取締役社長の古俣大介氏は、SNSやオウンドメディアが増える中、世の中から評価される“いい写真”の基準が、プロが撮影したハイクオリティな写真だけでなく、日常的で自然な写真にも広がっていると背景を説明する。

 しかし、PIXTAのユーザーは一眼レフカメラを所有するような30~50代以降のプロ・セミプロ層が中心のため、そういった写真が集まりにくいという課題があった。そこで、新たに日常的な写真もカバーするためSnapmartの買収に至ったと語る。ただし、それぞれのサービスの世界観を守るため、あえて連携などはせず、必要があればPIXTAで培ったサービス運営のノウハウなどを、Snapmartに生かしていきたいという。

両社のシナジー
両社のシナジー

炎上もしたが「いい決着」

 実はSnapmartは6月末に、とある騒動を起こしている。詳細については明らかにしていないが、Snapmartの生みの親である江藤氏とオプトインキュベートがサービスを巡ってトラブルになった。その後、江藤氏が自身のTwitterなどでサービスの開発責任者から外れることを報告し、その内容がウェブメディアに取り上げられるなどして物議を醸していた。

 今回の事業譲渡はオプトインキュベート側から打診したという。同社の広報担当者は「江藤さんと(オプトインキュベートの)経営陣の間で意見や認識の相違がありお騒がせしたが、いまでは和解している」とコメント。サービスをさらに成長させる上で、最良なパートナーがピクスタだったことから、同社へ事業譲渡することにしたと説明した。

 また江藤氏は、「今回のトラブルはお互いに言い分があるが、(オプトインキュベートは)会社的にコメントを出せない状態だったため、私が一方的に情報を発信してしまい申し訳なかった。そのあと話し合いの機会があり、譲渡という形になった。いい決着だったと思っている」と説明。今後は、ピクスタによるノウハウの共有などに期待したいとした。

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