1分間に25万円を売り上げる驚異のテレビ通販--「ショップチャンネル」の舞台裏

2016年07月26日 09時54分

1分間に25万円を売り上げる驚異のテレビ通販--「ショップチャンネル」の舞台裏
1週間に紹介するアイテムは700点。毎日平均約7万9000件の電話に対応し、約4万3000箱の荷物を発送する。驚異的な数字を達成するショップチャンネルは、商品の選定から、番組制作、注文を受け付けるコールセンターまで、どんな体制で運営しているのか。創業20周年を迎える「ショップチャンネル」の舞台裏を紹介する。
加納恵 (編集部)

視聴者の声を直接番組に反映できるスタジオの秘密

 「バッグの裏地を見せてほしい」「底に鋲が付いているのか確認したい」――視聴者の声をリアルタイムに反映しながら、24時間生放送でテレビ通販番組を提供するジュピターショップチャンネルの「ショップチャンネル」。そのレスポンスの速さは、視聴者が目の前にいて、あたかも直接リクエストをしているかのようだ。

 1週間に紹介するアイテムは700点。毎日平均約7万9000件の電話に対応し、約4万3000箱の荷物を発送する。驚異的な数字を達成するショップチャンネルは、商品の選定から、番組制作、注文を受け付けるコールセンターまで、どんな体制で運営しているのか。スタジオとコールセンターの見学会からその裏側を探る。


生放送中のスタジオ風景。放送中のセットの奥では次回放送分の準備が進められている

 ショップチャンネルは1996年に創業し、2016年11月で創業20周年を迎える。開始当初は1日12時間を放送し、うち、週18時間を生で放送。1997年には1日24時間放送へと拡大し、2004年には完全24時間生放送の体制へと切り替えた。

 700アイテムにも上る各商品は、30分もしくは1時間で1商品を紹介。番組はキャストと呼ばれる司会進行役と、その商品や分野に精通したゲスト、商品のデモンストレーションで構成され、すべてが台本のないぶっつけ本番だ。

 1つのスタジオ内に3、4セットが組まれ、放送中のセットの横では、次回放送分のセットの準備が進められる。スタジオの外にあるバックヤードには、放送する24時間分の商品が並べられており、時間ごとに入れ替えて対応するという。

 ショップチャンネルでは計3つのスタジオを持ち、番組を制作している。1つの番組に関わるスタッフはスタジオ、サブコントロールルームを合わせて計10名の少人数。スタジオにはチーフコーディネーターやディレクター、アシスタントディレクターなどが5人、サブコントロールルームには、カメラマン、CG、音声、セールスプロデューサー、テクニカルディレクターの5人がいる。

 通常の番組制作であれば、カメラマンはスタジオで実際にカメラを動かすことが多いが、ショップチャンネルではサブコントロール室からカメラをリモートコントロールする方式を採用。これにより1人のカメラマンで、5台のカメラを操作できるという。

 特徴的なのは、セールスプロデューサーというショップチャンネル独自の役職だ。「商品に寄ったカットを入れる」「カラーバリエーションを紹介する」など、視聴者が知りたいと思われる情報を番組内に盛り込んでいく役割を果たす。また、コールセンターに寄せられた視聴者からのリクエストをスタジオに伝えたり、コール数、在庫数を見ながら、番組の内容を変更したりするものセールスプロデューサーの仕事。デモンストレーションの映像を増やす、商品カットを多めに盛り込むなど、状況に応じて判断し、ディレクションしていく。

 すべてが生放送のため、放送事故への対応として音声を消す「ミュート」機能を設ける。これは放送時間のタイムラグを利用した機能。ショップチャンネルは衛星放送のため、スタジオの放送が配信されるまでに約2秒のタイムラグが生じる。ショップチャンネルではプラス5秒のタイムラグを設けることで、不適切なコメントなどをとっさに消すことができるとのこと。この判断もセールスプロデューサーの仕事で、タイムラグがあるとはいえ、数秒で判断しなければならない。

 なお、セールスプロデューサーは前職で接客業をしていた人が多いとのこと。実際にお客様に接することで培った、ニーズを読み取る力が生かされているという。


サブコントロールルーム。写真手前のデスクがセールスプロデューサーで、スタジオへの指示、コールセンターからの電話など一手に対応する

徹底的に機会損失を防ぐ最先端のコールセンター

 商品を紹介する番組を、視聴者の声を汲み取ったり、注文を受けたりすることでバックアップしているのがコールセンターだ。ショップチャンネルでは、東京、大阪の2拠点にコールセンターを設置。1日平均7万1000コールを受けつける。

 東京には250席、大阪には110席のオペレーターを設け、さらにホームエージェントと呼ばれる在宅勤務のスタッフを約50名抱える。既存顧客であれば約100秒、新規登録が必要となる新規顧客でも約380秒で注文が完了するスピードが売りだ。有人によるオペレーター対応を徹底する一方、IVRと呼ばれる自動音声応答も導入しており、こちらでは新規、既存顧客ともに1コール約150秒で注文が完了する。現在、IVRによる自動化を進めている最中だという。


東京にあるコールセンター内

 コール数は、番組の編成によって大きく左右され、1時間番組で紹介している商品であれば、紹介中にコールが入り、商品の紹介が終わると一気に鳴り止む。ショップチャンネルでは毎時間のコール数を予測しており、予測に応じてオペレータ数を調整する。ただし衣類からジュエリー、食品と700アイテムを取り扱っていることもあり、予測はかなり難しいという。

 コールのピークは23~24時。注文当日であればキャンセルも受け付けるため、この時間にコールが集中する。また、東京、大阪の2拠点体制を敷くが、空いている回線を優先してつなげるため、関東の視聴者が電話をしても大阪のコールセンターにつながっている場合もあるとのこと。これは放送時間内に大量の電話に対応するための施策だ。それでも人気商品では5~10分待ちの状態が出てしまうので、音声アナウンスによる待ち時間を伝えることで、待ち時間に耐え切れず電話を切ってしまう機会損失を防ぐ。待ち時間も個々の電話に応じて算出しているため、かなり正確な数字を伝えられるとのこと。時間を伝えることで、電話を切らずに待ってもらえるという。

 ショップチャンネルの2015年度の売上は1395億円で、創業以来、19期連続増収を記録している。Eコマースの伸びによりテレビ通販、カタログ通販は厳しい市況を強いられているが、その中でも生放送という強みをいかし伸長を続けているという。1日の売上は約3億8000万円以上で、1分間あたり25万円を売り上げている計算になる。

 今後は、取り扱い700アイテムのうち、約半数が新商品という「商品力」、生放送をいかしたライブ感ある「番組力」、買い付けから送付まで一括して請け負う「オペレーション力」の3つを強化し、取り組んでいくことを柱に据える。創業20周年を迎えるにあたり、8月からは3カ月連続の「開局20周年特番 夢を買えたら」を実施し、「バラの命名権」や「特選黒毛石垣牛 豪華頒布会」など、ショップチャンネルが過去に販売したことのない商品を提供していく企画を実施する。


コールセンターの中央にある円形の場所はコールやオペレーターを管理するコマンドセンター