今までの骨伝導イヤホンとは違う--BoCo「earsopen」が目指した高音質化

 周囲の音が聞こえるイヤホンがにわかに注目を集めている。ランニング中の車のクラクションや、オフィスでの人の呼びかけなど、音楽は聞きたいが、周囲の音を遮断してはいけない状況は意外と多い。そんな「音楽も周囲の音も両方聞きたい」という新たなリスニングスタイルに、BoCo(ボコ)は骨伝導イヤホン「earsopen(イヤーズオープン)」で挑む。

「earsopen
「earsopen」

 骨伝導は、骨を震わせることで鼓膜を振動させなくても音を振動として伝えることができる技術。耳を塞がないため、周囲の音を聞き取ることができ、聴覚障害がある人向けの補助器具としても使われている。

 BoCoは、骨伝導の特許をいくつも取得しているゴールデンダンスとパートナーシップを組みearsopenを開発。主に人の声に聞こえやすくしていた従来の骨伝導イヤホンの機能を広げ、“高音質再生”を目指した。

 「骨伝導デバイスは10年以上前から知っていたが、音楽が聴けるデバイスではないという認識だった。音響機器に使うのは難しいと思った」と話すのは、BoCoのソリューション開発部ゼネラルマネージャーの荒牧純一氏。当初、骨伝導デバイス用のアンプを作ってほしいと言われて、earsopenの開発に参加。専用アンプを作ったところ、予想とは裏腹に「ものすごく良い音がした」と当時を振り返る。

骨伝導デバイス。口径は10mm
骨伝導デバイス。口径は10mm

 earsopenに使用している骨伝導デバイスは、ゴールデンダンスが1年以上に及ぶ技術改良を経て生み出したもの。素材や構造を何度も見直した結果、最終的にはとてもシンプルな構造にたどり着いたという。

 「当初は横にも振動が伝わり、骨伝導デバイスの配置は縦でも横でも音を出すことができた。しかしそれでは、音漏れにつながり、エネルギーもムダになる。最初はそういうことすらわからなかったが、改良を重ねるうちに、正しく上下に振動することで高音質化ができ、そのためには構造をシンプルにする必要があることがわかってきた。これは最初から狙ってもできるものではなくて、試行錯誤を重ねた結果」と、BoCoの取締役COOの磯部純一氏は開発の経緯を話す。


左からBoCoのソリューション開発部ゼネラルマネージャーの荒牧純一氏、取締役COOの磯部純一氏

 “ハイレゾ級”と謳うだけあり、再生周波数帯域は4Hz~40kHz。骨伝導デバイスは口径10mmと小型で、通常のイヤホンと同等のコンパクトサイズに仕上げた。

 earsopenは「音楽用(無線)」(Super early bird:1万4190円、Early bird:1万6770円、Standard:1万9350円)、「音楽用(有線)」(Super early bird:5880円、Early bird:6860円、Standard:7840円)、「聴覚補助用」(Super early bird:4万9000円、Early bird:5万9000円、Standard:6万9000円)をラインアップ。現在、クラウドファンディングサイト「GREENFUNDING」で支援を募っている。「骨伝導と聞いて分かる人はまだわずか。今までとは違うリスニングスタイルを提供できる全く新しいイヤホンのため、体験してもらうことが大事だと考えている。GREENFUNDINGは、グループ会社のTSUTAYAと連携して、蔦屋家電や全国のTSUTAYAで実際の商品を置くことができる。新しい商品だからこそ、聞いてもらえる場所まで提供してもらえるGREENFUNDINGでやってみたかった」(磯部氏)と理由を話す。

 すでに、2016年12月には蔦屋家電のイベントでearsopenを展示。ユーザーに実際に聞いてもらえる機会を得た。「思っていたよりも骨伝導を認識している人が多かったというのが印象。実際聞いてもらうと音がこもらず聞こえ、周りの音もきちんと聞こえる。『おお!』と驚いてもらえることが多かった」と磯部氏は手応えを感じている。

 「新技術を盛り込んだわけではなく、今までのあったものを高音質にすることを目的に作り直したのがearsopen。骨伝導イヤホンは“こもった音”がすると感じている人も多いと思うが、アンプや筐体をデバイスに合わせこむことでクリアな音楽が聴けるようになる。音圧が全然違うため、骨伝導イヤホンの中でも優位性はあると思う」と、荒牧氏は特徴を話す。

 奇しくも2月には、WiLとソニービデオ&サウンドプロダクツののジョイントベンチャーであるambieから耳を塞がないイヤホン「ambie sound earcuffs(アンビーサウンドイヤカフ)」が発売されたばかり。こちらは発売から4日目で初回生産分が完売するほどの人気を得ている。

 「ambieの登場は、耳をふさがないイヤホンという市場を広めてくれた。方式が違うのでearsopenとはかなり方向性の違うのモデルだと思うが、新しいリスニングスタイルの提案の仕方は同じ。BoCoでは、聴覚補助器具としての展開も考えており、ステレオで音楽が聴ける楽しさも味わってもらいたい。体感してもらえれば、耳を塞がない新たなリスニングスタイルを理解してもらえるはず」(磯部氏)とした。

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