思考とマシンをつなぐFacebookの挑戦--人間もアップグレードする時代へ

 Facebookが開発者向けカンファレンス「F8」で人体をマシンとのインターフェースとする新しい技術の研究について発表していた。NHKをはじめとする一般のニュースでも報じられていたので、すでに見聞きされた方も少なくないだろう。

 「脳でタイピング」「皮膚で聞く」--Facebookの未来的プロジェクトが明らかに


 米CNET.comではあらかじめ準備していた記事ーーBuilding 8と呼ばれるFacebookの研究部門に足を運んで取材した記事も公開されていた。

 Facebook's moonshots: Making brains type and skin hear - CNET.com

 「以心伝心」という言葉も連想させるこの研究、ムーンショット(moonshot)の言葉通り、簡単にはうまくいかないけれども挑戦してみるだけの価値のある(技術の)研究ということで、うがった見方をすればFacebookにとってのある種の宣伝、あるいはMark Zuckerbergの道楽と解釈できないこともない。

 また上記のビデオ中で話をしているRegina Dugan(Building 8の責任者)が以前Googleの先進技術開発部門(Advanced Technology and Projects)の責任者をしていたことや、「元祖ムーンショット」のGoogle(とくにR&D部門のGoogle X)が2015年あたりからは地に足のついた取り組みに集中してきていることは既報の通りだ。今回のような取り組みを手がける余裕と意欲がある組織ーー目先のそろばん勘定を気にせずにこういうことをやれる組織が、民間ではFacebookくらいになったということかもしれない。

 CNET記事によると、今回明らかにされた取り組みが想定通りにいけば、1分間に100ワードくらいのスピードでタイプできるようになるという。「ふつうの人間がキーボードを叩く速度よりも早く、スマホにタイプ入力に比べれば(アルファベットの場合)5倍も速く文字を打てる」というからなかなか期待が持てる。腱鞘炎のボーダーラインで、梅雨時には必ず憂鬱になるライターとしては期待しないわけにはいかない。

 また「Building 8ではどのプロジェクトも2年の期限付きで取り組みを進めている」とのことで、この取り組みについても2018年末から2019年の初めころには何らかの成果が発表されるかもしれない。

 CNET記事には、Duganがこの技術の用途のひとつとして、拡張現実(AR)用ゴーグルのUIーーYesかNoかを訊ねるような簡単なダイアローグの応答などを想定しているというコメントもある。Google Glassが失敗した理由のひとつとされるぎこちないアクションのことを思い出すと、めがね型端末を指も音声も使わずに操作できるというのは確かにいいアイデアかもしれない。ただし、脳の中の信号を読み取るセンサ類を詰め込んだネットもしくは帽子のようなものは別途必要になるそうなので、そのあたりの実装をどうしてくるのかは気になるところである。

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