最優秀賞は「ハイスペック聴診器」--KDDI ∞ Labo 第11期生が成果を発表

「KDDI ∞ Labo 11th DemoDay」が開催
「KDDI ∞ Labo 11th DemoDay」が開催

 KDDIは5月18日、起業家支援プログラム「KDDI ∞ Labo 11th DemoDay」を開催し、同社の支援するスタートアップ企業による成果を報告した。KDDI ∞ Laboは、KDDIやそのグループ企業、あるいは33社のパートナー企業のアセットやノウハウを提供するなどして、スタートアップ企業の事業成長・拡大を支援するもの。第1期の2011年からインキュベーションプログラムとして、第10期からはアクセラレータプログラムとして実施している。

 2016年に採択された今回の第11期は、その前の第10期からの継続となる4社と合わせ全8社が参加。イベント当日は、これに地方ベンチャーのピッチイベント「KDDI∞Labo MeetUP!」から選抜された3社が加わり、11社がプレゼンテーションをした。

最優秀賞は「ハイスペック聴診器」--クラウド健進も開発

一般投票により「超聴診器」を開発するAMIが最優秀賞に選ばれた
一般投票により「超聴診器」を開発するAMIが最優秀賞に選ばれた

 イベントの最後には、当日会場でプレゼンテーションを見守った一般の参加者の投票により、最優秀チームとオーディエンス賞の受賞者が決定される。今回最優秀チームに選ばれたのは、第11期組4社のうちの1社であるAMIの「超聴診器」だった。

「超聴診器」を開発するAMIのプレゼンテーション。聴診器発明以来の大きな進化を果たした
「超聴診器」を開発するAMIのプレゼンテーション。聴診器発明以来の大きな進化を果たした

 AMIの創業者は、循環器内科医として活動するなかで、大動脈弁狭窄症という突然死を誘発する、治療の難しい病気に対し、早期の発見が最も有効な処置であると断定。その発見の可能性を高めるべく、“ハイスペックな”聴診器「超聴診器」を開発した。心筋活動電位と聴診音を合成、抽出する独自の手法で従来型よりも精度高く聴診可能で、小型化、携帯性、操作性にもこだわったという。

 さらに、超聴診器のハードウェア、ソフトウェア開発だけでなく、遠隔医療で健康増進を目指す「クラウド健進」も開発。遠隔から診療するための診療キットの配送スキームと、採血の仕組みを構築し、すでに自治体と共同で実証実験をすることも決定している。

保証書のデジタル管理サービス「Warrantee」がオーディエンス賞

オーディエンス賞を受賞した「Warrantee」
オーディエンス賞を受賞した「Warrantee」

 オーディエンス賞を受賞したのは、MeetUP!から選抜された「Warrantee」。同社は家電製品の保証書をデジタルで管理できるようにするクラウドサービスを提供している。システムに登録されている家電製品の情報は約60万件に上り、ユーザーは保証書を登録することで所有している製品の情報や保証期間を把握できるだけでなく、その製品の説明書をオンラインで確認したり、メーカーに修理を依頼したりできる。

保証書デジタル管理サービスの「Warrantee」。家電に限らず取り扱う対象を広げていく計画
保証書デジタル管理サービスの「Warrantee」。家電に限らず取り扱う対象を広げていく計画

 また、使わなくなった製品の中古売却を容易にする仕組みもある。今夏には家電リサイクル券の添付なしに不要品を廃棄できる仕組みや、保険請求の手続きもできるようにする計画。さらには自動車や家の管理にまで範囲を広げることも考えている。同社ではこうした機能をユーザーに提供する一方で、企業に対してはユーザーに関連する情報をマーケティングデータとして提供するビジネスモデルを展開している。

第11期、WATCHA、TeNKYU、VRizeのプロジェクト

 そのほか第11期から参加しているのは、WATCHA、TeNKYU、VRizeの3社。WATCHAは、ユーザーの好みに合う動画をリコメンドするシステムを開発、日本では2015年9月からサービスを開始している。スマートフォンアプリ上でユーザーが実際に見た動画、映画を評価すると、機械学習によりレーティングデータなどを分析し、それを元にユーザーが好みそうな動画をおすすめする。

 さらに、その評価に基づいた他のユーザーとのマッチング度も表示できる。6月1日からはWATCHAの仕組みがauの定額動画配信サービス「ビデオパス」に導入され、電子書籍サービスのBookLive!や国内大手VOD事業者への提供も決定している。

「WATCHA」のプレゼンテーション。彼女と気が合うところをWATCHAで再発見する、というイメージ映像を流した
「WATCHA」のプレゼンテーション。彼女と気が合うところをWATCHAで再発見する、というイメージ映像を流した

 TeNKYUが開発したのは、インターネットに接続してさまざまな情報を光で人に伝える電球。人感センサとカラーLEDを備えた同製品は、人が近づくだけで点灯し、降雨、気温、花粉量、その日のユーザーのラッキーカラーなどを電球の色で知らせる。機能は専用のスマートフォンアプリから設定して切り替えることができ、防犯などにも役立てられる。すでに大規模商業施設での実証実験を実施しており、今後はホテル、鉄道会社、介護施設などでも同様の導入計画があるとのこと。

電球でさまざまな情報を伝える「TeNKYU」。一般家庭の電球ソケットに簡単に取り付けて使える
電球でさまざまな情報を伝える「TeNKYU」。一般家庭の電球ソケットに簡単に取り付けて使える

 VRizeは、VR動画アプリの制作を省力化するBtoB向けシステム「VRize Video」と、VRコンテンツに広告を挿入する「VRize Ad」を開発した。VRize Videoでは、現在はプロが手間をかけて制作しているVR動画アプリを圧倒的に少ない工程でリリースできるようにし、VRize Adでは、VR動画アプリ内に映像で広告を効果的に表示する仕組みを提供する。羽田空港のラウンジや、世界のスポーツ映像を配信するJ SPORTSでの採用事例も紹介した。

「VRize Video」と「VRize Ad」を開発するVRize。遠隔ユーザー同士がVRの世界で同時にサッカー観戦する、といった使い方も
「VRize Video」と「VRize Ad」を開発するVRize。遠隔ユーザー同士がVRの世界で同時にサッカー観戦する、といった使い方も

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