スマートフォンネイティブが見ている世界

自撮りの発展系「ピンプリ」に見る高校生の心理

 「ピンプリ」をご存知だろうか。ピンプリとは、1人で撮るプリクラ(プリント倶楽部)のこと。以前から一部では人気があったが、最近またピンプリに人気が集まっているようだ。Instagramではハッシュタグ「#ピンプリ」がついた投稿は2100件以上あり、以前ご紹介した「プリ画像」でも「#ピンプリ」は約1500件投稿されている。

 
ピンプリ

 プリクラは一般的には友だち同士で一緒に撮影し、目が大きくなったり、肌や髪がきれいに写るなど、“盛れる”ところに特徴がある。最近はシール目的というより、SNSのアイコン用データが目的となっている。セルフィー(自撮り)で良さそうなものだが、「スマホで撮るより盛れるから」と女子高生たちは口々に言う。ほぼ整形並みに可愛く撮れるため、セルフィーではなくあえてプリクラを撮りに行くのだ。

 では、なぜピンプリなのだろうか。ピンプリ流行に見る10代の心理について見ていきたい。

10代の反応は真っ二つ

 10代の子たちは、ピンプリについてどう考えているのだろうか。実は、反応は大きく2つに分かれている。ピンプリは元々、罰ゲームで撮りに行かされるものだった。友だち同士や恋人同士で撮りに来ている人が多い中、1人で撮影していると周囲の視線が刺さり、いたたまれない辛い思いになる罰ゲームだったらしい。

 当然、今でもそういう意見はある。「友だちがいないように見えるから嫌」という意見は多い。読者モデルやアイドルがファンへのプレゼント用に撮影することは以前からあったので、「ナルシストっぽい」「きもい」「痛い」という意見も少なくない。実際、モデルの藤田ニコルさんはTwitterで「最近ピンプリ撮ってないのー? にこるんのピンプリほしい」とお願いされている。

ピンプリ

 女子高生たちは、「ピンプリは可愛くないと需要ない」と言い切る。「自分をブスだって本当に思ってるならピンプリなんて撮らないと思う」とも言い切っていた。

 ピンプリを撮る男子高生に対する言葉はさらに厳しい。「自分大好き君がピンプリ撮ったことあるって聞いてかなり引いた」「同じ中学だった男子がピンプリ撮っていて気持ち悪かった。女子でもそんなに撮らないのに、Twitterにあげているのを見つけてしまって最低と思った」。両者に共通するのは、漂うナルシスト感に対する嫌悪だろう。

親しい証拠としてのピンプリ

 一方、「ピンプリ撮ってみたい」という声は大きくなってきている。最近のプリ機では、そのニーズを汲み取って1人撮影専用コースが用意されているものもある。なぜ、彼らはあえてピンプリを撮るのだろうか。ピンプリの使い方は、Twitterで検索すれば非常にわかりやすい。主に、親しい人やフォロワーへのプレゼント用や、「いいね」やリツイートなどの反応を高めるために使われていることが多いのだ。

 「フォロワー500人になったらピンプリプレゼントする企画をやろうかと思ってるんだけど」「ピンプリ企画しますね! こんな奴のピンプリでもいいなら、欲しい人抽選で5名様に送ります! 送料はこちらで払わせてもらいます。手紙付きで送らせてもらいます←感謝の意味を込めて このツイートをいいねとRTで参加可能! 待ってます!」など、モデルやタレントのようなフォロワーへのプレゼントが目立つ。

 「◯◯ちゃんのピンプリはどうしたらもらえるのー」「△△ちゃんのピンプリほしい!」など、ピンプリの交換は普通となっているようだ。そこには、好きな子のピンプリはほしいし、親しい人にはあげるものという意識が見られる。彼らにとってサインなどをしたピンプリを交換することは、親しい証拠のようなものだ。前述のようにフォロワーへのプレゼントとなっているのは、SNS時代の総タレント化の影響だろう。

 以前「制服プリ」を紹介したことがあるが、プリクラには記念写真としての意味もある。しかし、それだけではなくサイン帳やプリ帳(プリクラ手帳)の意味もあるというわけだ。

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